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カワサキ空冷GPz1100の割れたスイングアームの
修理のお話 その1


 ある日,バイク屋を営まれている方からスイングアームの修理について相談を頂きました.

カワサキ空冷GPz1100のに乗るお客さんがチェーン調整後にスイングアームのエキセントリックのボルトを
締め付けたたところクランプ部にクラックが入ってしまい溶接できる所を探しておられるということでした.

その当時,私は亡き母がまだ病気と闘っているときでHPの掲示板を通じ,いろんな方から励ましのメッセージを
頂いたのですがそのバイク屋さんもその中のお一人でした.

その方も数年前に同様にお母様を亡くされていて,その言葉には重みがあり辛く悲しいときだっただけに
本当に勇気づけられました.

そういったいきさつもあり出来るならば何とかならないかと思い,先ずはメールで写真を送っていただき状況を
お伺いさせていただきました.

今回はそのスイングアームのクラックの修理のお話です.



カワサキ空冷GPz1100の純正スイングアーム.


チェーン調整がエキセントリックになったのはこの車種
あたりからだったと思います.



ちなみに,依頼されたバイク屋さんは割りと近くに
お店があるので現物を持って直接来て下さいました.



バイクのオーナーさんがボルトを締めたときに割れた
そうですが単にオーバートルクだけが原因では
なさそうで,当時の強度設計思想や素材,それと
経年劣化にも問題があった気がします.



私も同じバイクを所有していますが締め過ぎると
割れるとなると少し怖い気がします.


ボルトの座面で剥離?破断?されている.


こんなの始めて見ました.

現行車両のそれと比較して肉厚がどこも薄いのが
こうなって改めて気付くところです.


ブレーキのトルクロッドの固定部分.

ここの溶接も「巣」だらけなのでついでに溶接を
やり直してほしいとのことでした.


いくら20年以上も前の車両とはいえ純正品の溶接が
これとはあまりにもひどいものです.


修理についてですが,重要な部分なだけに溶接で修理しても強度が確保できているか保証ができないため
バイク屋さんと持ち主の方の意見も踏まえていろいろと相談させていただきました.


たまたま私のストックパーツの中に同じものがあったのでそれを手直ししてお譲りするとして,この
スイングアームは修復が出来るかをチャレンジするということで作業をすることとしました.

とはいえ,手を抜いて修復してもイミテーションにもならないので実使用レベルでの修復を基本としています.




先ずはバイク屋さんでスイングアームが外されて宙ぶらりんとなっている
バイクのために手持ちのスイングアームの手直しを行います.



上の黒いのが手持ちのスイングアーム.

チェーンケース用のステーが切り取られているため
コレを元にもどします.


修復するステーは三箇所.タップは先に立てています.


なお,純正品はタイヤ寄りのステーはL字になっていて
ネジ部はカシメナット(ナットリベット)となっておますが,
手持ちにナッターがないためその部分だけ板材の厚みを
増やして補うことにしました.


写真左上のモノだけが厚いアルミ板となっています.


タイヤ寄りのステー

L字に溶接して整形しています.

位置を合わせてクランプでしっかり固定して
仮付け後に本溶接を行います.


手で押さえながら仮付けしても出来ますが,素人の
私がそんなことをすれば必ず出来栄えも悪くなるので
確実に.


 チェーンケースが問題なく取り付けれられる事を確認して一先ずこれをお渡ししました.



ここからが本題です.


問題のこれです.


このまま開先処理をして溶接することも可能ですが
完全に割れて隙間が出来てしまっているので一旦
完全に分離します.



何より先ずはスイングアーム全体の汚れをパーツ
クリーナーを使い脱脂洗浄を行います.

スリーブを取り付けてボルトを締めこむと簡単に
とどめを刺すことができました.

 繊維状に引き裂かれていました.




ボルト座面側からは溶接が不完全になりそうなので
溶接しやすい外周側の開先を大きくとり不完全な
溶接部分ができないようにしてみました.

表面のささくれもリューターでならしています.


恐らく溶接のプロの方ならばこれほど開先を大きく
とらずに溶接条件を合わせて溶け込みの深い溶接を
されると思います.

私のような素人レベルの人間が思いついた愚策
ですので同様な修理を行う場合は賢明な処置,
判断をお願いします.

バーナーで少し余熱を加えたあと,TIG溶接で
溶接します.


溶接もれがないように全周囲と座グリ側から
慎重に溶接を行います.


ベルトサンダーを使い大まかに外形を整え,痩せた
部分などに再度肉盛り溶接を行います.

アクスルのスリーブをはめて,はめ合いを確認します.

悲しいかな矢印のところに若干の隙間ができて
しまいました.


内面に加工が必要となった場合,内径切削など
フライス盤での加工が必要となるため,当初は
溶接部分だけをリューターで削ってマイナス公差と
なるように仕上げるつもりでした.


次の作業までの数日間,夜な夜などうしようかと
悩む日々.


原理原則に立ち返ってちゃんと面接触となるように
内面に肉盛り溶接を行って何らかの方法で内面を
仕上げることとしました.



長くなってきたのでこの先の仕上げについてのお話は

「カワサキ空冷GPz1100の割れたスイングアームの修理のお話 その2」で.


毎度毎度長ったらしくてすみません.



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