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ホンダリードのエンジンカバー軸受け部の欠け修理のお話


工作友達として親しくしていただいているMotoShop Zoomさんのお知り合いのバイク屋さんから依頼され,
一年半ほど前に修理したホンダリードのエンジンカバーの溶接修理のお話です.



破損している軸穴はキックペダルのギアから
駆動を受ける二つ目のギアのものです.


写真右下に半分だけ写っている穴がキックペダルの
軸受けになります.


残った破片を嵌めるとピッタリと納まってくれます.

カバーはメーカーから部品供給されていて
価格も1万〜2万円程度.

普通なら廃棄してしまうものですが軸穴の破損を
除けば外見も綺麗で捨ててしまうのは勿体無いと
いうことで修理を依頼されました.


溶接の手間と新品価格が近いため,修理方法も
検討して低予算で修復することが今回の命題です.



お仲間のお仲間なのでスペシャルプライスです.


溶接の熱で綺麗な表面の塗装がダメになって
しまわないように,雑巾に水を染み込ませ
冷却しながら溶接します.



こんな溶接初めて.

感電しないかと最初ヒヤヒヤしました.


狭小部での溶接のため,溶接機のトーチが
うまく入らず苦戦です.

タングステン電極を思いっきり突き出して溶接
しますがトーチで視界が遮らるためれ思うように
溶接できません.



溶接して不要部分をリューターで削る作業を
繰り返していきます.



溶接の熱で水蒸気がシューシュー湧いてきます.


軸受け面に溶接が入り込むと仕上げが大変に
なるので内側に溶接が回りこまないように
外側ギリギリを狙って溶接していきます.


スラスト面に溶接盛りが残った状態で溶接作業は
終わりです.


溶接により軸受け内部に支障がでていないか
チェックします.

純正シャフトが無かったため同等と思われる
φ10mmの真鍮パイプを通して,入り具合から
異常が無いかを確認します.


スラスト面の溶接部分の修正ですがフライス盤が
無いため以前行ったこの方法で仕上げます.

ホールソーのセンタードリルの代わりにムク棒を
入れてそれをガイドにして表面を切削します.



ボール盤のテーブルは狭いため手持ちの厚さ
10mmのアルミ板を載せ,ダイヤルゲージで
きちんとエンジンカバーの平行出しを行い固定
しています.


切削部の面取りですが機械仕上げの方が
美しく仕上がるのでワークを固定したまま
面取りカッターをセットして面取りまで
行います.


周辺部分をリューターで仕上げます.


細かな作業のために購入したエアーリューター.


SUPERTOOLのマイクロエアーグラインダー
(MS3H).

輸入品で同様なリューターがオークションで
売られていますがやはり国産がいい気がします.

ちなみにこれで5000円(新品)でした.


「MADE IN JAPAN」の文字が輝いて見えます.



出来上がりはこんな感じです.

多少の巣が見えますが機能的な支障はないと
思います.


表側の塗装も無事で作業完了〜.



軸受けにシャフトがちゃんと入って再利用出来ることを願っています.






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